新宿歌舞伎町は眠らない街だ。

ホストの銀次(GINJI)は、まだあどけなさを残す十九歳だった。
もちろんこの業界ではすべて二十歳以上と称している。
そうでなければお酒の相手ができやしない。

クラブ「花園」のホストたちは、どちらかというと「地味」であり、それがウリになっている。
成城の有閑マダム御用達というところか…

あたしは、GINJIと同棲していたことがあった。
そのころの話。

正月も十日をすぎれば、ホスト稼業も落ち着く。
まさか「十日えびす」でマダムが福の神になって馳せ参じるということもない。
彼女らが「商売繁盛」を願わなくても、有閑を満喫しておられるのだから。
そういった平和な世界にもクスリは蔓延する。
あたしがそれに手を出したのも、GINJIが面白半分に「ハーブ」をやりだしたからだ。
ある種のハーブは、催淫効果が甚だしく、熟女を狂わせ、性の奴隷にできるともっぱらの噂だった。
その名を明かせないのが残念だけれど、それはもうすごい陶酔の世界だった。
あたしは、何人もの男に回され、気絶した。
あたしから求めたんだとGINJIは言うのだが…
成城マダムもそれほしさに、何度も「花園」に「百夜(ももよ)通い」し、ホストたちの餌食になったという。

「ナオ、おまえもこれ、ほしいんだろ?」
「もういやよ…あんなに狂っちゃうなんて、あたしこわい」
「でも、体は、どうもないだろ?」
「まあ、ちょっと激しい運動した後みたいな」
「そうだよ。体にいいんだよ***は」
「ほんとぉ?」

なおぼんに「一次結合」する前の話なので、あたしはバカだったから、GINJIの手玉に取られて、セックス三昧だった。
よく妊娠しなかったと、今でもぞっとする。
もし妊娠しても誰の子だかさっぱりわかりゃしない。

***というハーブは、食べても太らないということでも有名になった。
麝香(じゃこう)が混ぜてあって、薫香にして着衣に沁ませることもあった。

「GINちゃん、ほしいの。あんたの硬いやつ」
あたしは、ハーブのせいでそんな、はしたないコトバを吐いて誘った。
GINJIはギンギンに勃たせたイチモツをあたしの顔に押し付ける。乱暴に。
「ほら、ねぶれよ」
はぷ…
口にねじ込まれ、あたしはえづきそうになる。
おあえっ…
容赦なく彼は鋼(はがね)のようなブツをつきこんで来る。
唾液が口の端からぼたぼたと流れ落ち、あたしの胸元を汚した。
「し、下の口に入れてよ」
あたしは、辛いので、はやく普通に貫いて欲しかった。
「わかったよ。犯(や)ってやるよ」
あたしの両足はおもいきり左右に開かされ、GINJIが押し込んでくる。
ぎゃわっ!
まだ潤いが少ない時期で、痛かった。
「きついな。ナオ」
「いたいっ」
「おれのがでけぇってか?はははっ」
いたぶるように、笑って、ギラギラした目をあたしに向ける。

その時、GINJIはまだ十九にならないのに、経験した女の数は三桁だと豪語していた。
金髪に近い、脱色した頭がオーラをまとっているように見えた。

彼の初体験は十一の夏で、担任の先生だったという。
足立区の小学校で、かなり荒れていたそこは、先生もおかしかったそうだ。
職員便所につれこまれ、「センコーにフェラで抜いて」もらったそうだ。
十一で精通があるというのも早熟だけれど、その行為も早熟すぎないか?

巧みな腰使いで、早くも、あたしは逝かされた。
ハーブのせいもあるのかもしれない。
クリスタルキャッチャー付きグラインダーで草を潰し、火をつけてボング(水パイプ)で吸い込む。

ああ、GINJI…
思い出して、あたしは一人エッチにふけった。