座るようにつながった…
男はゴージャスな皮のソファのような座り心地で、濡れそぼった私の秘肉を押し開く。

彼は足が不自由だった。
だから、私が終始リードして事に及ぶ。
松崎征士郎と名乗った五十がらみの男性は、戦場カメラマンだという。
銃創が体のあちこちを貫き、悲壮な履歴を物語っていた。
「この足は、地雷を踏んだんだ」
「え?」
「小さな対人地雷でね、正確には木が落ちていて、その木を踏んでしまったときに木の端に地雷が埋まっていたんだな」
彼は、問わず語りに話した。
私は彼の上に乗って、腰をゆすりながら、話を聞いていた。
「そんでボカァンと」
「まぁ」
「幸い、足がもげることはなかったが、木の破片が膝を貫いたんだ。ほら」
左足には生々しい、傷跡が残り、縫った後もあるようだった。
「野戦病院でね、たいした手当もできずこのざまさ」
去年のベイルートでの話だそうだ。
正確にはシリアの国境付近で大けがをし、レバノンのベイルートに移送されて、カイロ経由で日本に舞い戻ったという。
「女と寝るのは、日本に帰ってきて君が初めてさ」
「うふふ。たっぷり楽しませてあげる」
「ここは銃声も聞こえない…」
「だって東京だもの」
「まったくだ」
あたしは、腰を振って、硬い銃身のようなペニスをしごいてやった。
「ああ、狭いな。君のは」
「鍛えてるのよ。あたしだって」
「そうなのかい?コールガールってもんは」
「プロだから。あん」
松崎が突き上げてきたので、思わず声が出た。
子宮がうずく。
「日本人の体がいちばんいいよ」
「もう、何人と寝たの?」
あたしは、彼のあごを手指で撫でながら訊いた。
無精ひげのとげとげしさが、手のひらに心地よい。
「さぁな」
「アラブ女?」
「ああ、トルコのイスタンブールの娼家で抱いた女は、シェヘラザードのようだった。おれはスルタンの気分になれた」
「へえ。千夜一夜ってわけ」
私のお乳を下から持ち上げるように愛撫してくれる。
乳首が指先でこねられ、あたしも喘ぎ声が出てしまう。
ざらついた、指紋はかえって私を乱れさせた。
私は後ろ手をついて、ことさら結合部分を見せつけるように動いた。
彼の手が私の腰をホールドする。
日本人とは思えない皮膚の黒さが、歴戦の勇士を物語る。
浮き出た瘢痕が彫刻の鑿(のみ)の跡のようだった。
激しく反り返ったペニスが私のGスポットを掻いた。
「あふっ」
「はぁっ、はあっ、はふぅ」
荒い息を松崎はふいごのように吹く。
玉の汗がみるみる彼の胸や首に浮き出した。
血管は破裂しそうなくらいに膨れて、首筋を走る。
騎乗位で逝く男は少ない。
経験の少ないひとは騎乗位で逝くことがままあるのを知っている。
松崎は言うほど女性経験はないのかもしれない。
がつっと腰が入ったかと思うと、くぐもった声を漏らして、松崎は私の中で果てた。
私は彼に覆いかぶさって、唇を重ねた。
厚い舌が私の舌と絡んだ。
お腹に力を入れると、彼はプツリと抜け落ちてしまった。