あたしフェラチオを褒められた。
別に練習したわけじゃないけれど、場数を踏めば、その辺の奥様よりはうまくなる。
ただ、あたしの舌技が男の人にとっていいものなのか、ダメなのかが自分ではわからない。

フェラチオって、ペニスを好きにならなければ上手くならないんじゃないかって、最近思うようになった。
あたしはこの仕事をする前は、ペニスに嫌悪感を持っていた。
小さいころ、近所の年上の少年にいたずらされたことが根底にあるのかもしれない。
握らされ、少年が射精するまで手のひらを動かさされた。
たぶん少年は中学生で、丸坊主だった。
こないだのスナメリ君のように。

硬くて熱い雄の器官を、あたしは懸命にこすっていた。
少年の息が荒くなり、足がぴんと伸びたかと思うと、ペニスの先の穴から紐のように白い液体が飛び出した。
その後も、だらだらと液体は出続け、あたしは手の動きを止めなかったから、あたしの手の甲にも伝った。
ペニスの皮をつぼめ、あたしは手を離した。
さっきまで元気だったペニスはだらりと下を向いて、ずいぶん小さくなった。

断片的な記憶がよみがえるが、それは何度も繰り返されたことだった。
あたしは手淫やフェラをするときに、あの忌まわしい事件を思い出すのだった。

この仕事をするようになり、手淫や口淫にことさら嫌悪感を抱かないが、ふと我に返ることがある。
懸命に仕事を行っているあたしにとってそれは邪念に等しい。

何本も男性の自慢の器官をみるにつけ、愛着さえ湧いてくる。
ペニスは愛おしい。
女に無い分、ひとしおそう思うのだ。

秋山はサーファーだと言っていた。
湘南はもとより、房総、九十九里にまで足を延ばすそうだ。
そう言うからには、こんがりと日焼けし、短い髪は赤茶けていた。
「色、抜いてんだ」
あたしは彼の物を口に含みながら聞いていた。
「かわいいな。その表情」
あたしの髪をかき上げて、しゃぶっているあたしの顔をながめている。
あたしは目だけで返事をし、大きくほおばる。
弾力のある亀頭は、あたしの口の中にいっぱいに弾んだ。
はむっ…あぷ。
唾を十分に溜めて、亀頭の先端に乗せる。
ちゅるり…
「アダルトビデオみたいだな。なおこって言ったっけ、そういうの出たことあるの?」
「ううん」
あたしはかぶりを振った。
そういう話はあったが、元来、恥ずかしがりなんで、断ってきた。
「風俗店とかに勤めてたとか」
「ううん」
「そうか。それにしちゃ、うまいな」
雁首に唇をひっかけるようにして口から出し、にっと笑った。
そうして、またほおばる。
じゅっぷ…じゅぽ、じゅぴ…
首を使って、激しく亀頭から茎までを出し入れする。
「おふぅ、でちまうよ。そんなにしたら…」
「出しなさいよ」
あたしは口を外して、言ってやった。
亀頭の直径は4㎝近くあるようだが、茎が3㎝ちょっとしかないように見えた。
段差が激しいキノコのようなペニスだった。
こんなので搔かれたらさぞかし気持ちがいいだろう。
あたしはまだ彼を収めていないので、期待が膨らんだ。
「やっぱ、なおこちゃんの中でイキてぇよ」
「じゃ、して」
あたしは秋山の首に腕を絡めて、しなだれかかった。
秋山は、それを合図に激しく抱きしめてきて、口づけを迫った。
あぷ…あむ

秋山はあたしの陰裂を指でなぞり、潤いを確かめている。
時々、指先を曲げて膣口を破る。
「ああん、やん」
「にちょにちょだぜ。糸ひいてやがる」
そんなハレンチなことを言う。
太い腕で抱え込まれ、腋から香り立つ男の匂いに包まれる。
あたしは嫌いじゃない。
父も同じ匂いがした。
小学校の担任の先生も同じ匂いがした。
あたしを幼いころに旅立たせてくれる香りだった。
いきなり差し込まれた。
きゃっ!
押し開くような太いペニスの侵入。
痛みを伴うような挿入だったが、じきに、やわらかになった。
「ああん、いい。あなたの」
「そうかい。ずっぽり入ってるぜ。見えるかい?」
あたしは首を上げてその部分を見た。
確かにあの長さの物が根元まであたしの中に入ってしまっている。
もう二人の隙間は無かった。
ぐぼっという感じでペニスが抜かれ、また押し込まれる。
そのたびに、あたしの腰が浮き上がり、彼の動きに合わせる。
抜かれるときに内臓が吸いだされるような感じを覚えた。
すごいピストンだった。
おおおおお、よよよよ…
あたしは、興奮と快感で声が止まらなかった。
「なおこ、そんなにのけ反ったら、ベッドから落ちてしまう」
秋山があわててあたしを起こした。
うふーっ。
あたしも大きく息を吐き、起こされて、座位で彼に絡みついた。
腹の中に芯が通っているようなペニスである。