その男は、最近、女を抱けるようになったと告白した。
名を亮介と言った。

彼の退屈な話はおよそこういう内容だった。
亮介の家は川口市の商家で、乾物屋を営んでいた。
明治の創業ということで、さして古い家でもないが、家人がたくさんいたそうだ。
女がよく働き、男はあまり働かなかった。
だからか、女の立場が男より上だったのは致し方のないことだった。

そんな環境で幼少期を過ごした亮介は、女が怖い存在だったようだ。
女が「かわいらしい」とか「守ってやるべき存在」だとか、まったく思わなかったという。
母の妹、つまり叔母にあたる女性が、一番彼にとって親しい女性だったらしいが、その叔母さんがまた勝ち気で、亮介をまったく大人として扱ってくれず、今もってそうらしい。

その旧家を継ぐのが亮介であり、社会の荒波に揉まれることなく、叔母の下で働いている。
叔母にも夫というべき人がいたらしいが、外に女を作って出奔してしまったらしい。

叔母は亮介が埼玉大学に入ったころから、亮介に自分の体を慰めさせていた。
亮介はいやいやながらも、若いから性欲は人並みにあった。
だから、見慣れた男勝りの叔母でさえも勃起はしたという。
身内の女に手を出すなんてことは、よそに知れたら大変な恥だ。
叔母もそれは心得ており、うまく秘密裏に亮介を誘惑したらしい。
叔母の車で、あちこち連れ回され、ホテルで相手をさせられたわけだ。

同年代の女学生と仲良くなれなかったのは、ひとえに叔母のせいだと言い切る亮介。
あたしに言わせたら「甘えんじゃないよ」と叱っていやりたい。

「最近、抱けるようになったって言ったけど、誰なのよ、お相手は」
あたしはピロートークで尋ねてやった。
「うちの店に今年入ってきた社員で、赤間結衣(ゆい)って言う子なんだけど、叔母の目を盗んで誘ってみたら、案外上手くいってね」
「ふうん」
「二十三で、おれより二つ下で、顔は悪くない。すこしぽっちゃりしてるけど、健康的でね」
とかなんとかべらべら喋るのよ。
「で、あんた、どうして、そんないい子がいるのに、あたしと遊ぶわけ?」
「いや、あの子はそうそう、やらせてくれないんだ」
「好きなんでしょ?おたがい」
「たぶんね」
「あんたの性欲処理には、ついてきてくれないんだ」
「だめって言うんだよ。堅いんだね。お家がしっかりしてんだろうね」
「じゃあ、叔母さんとやれば?」
「もういやなんだ。あの人の言いなりのセックスは」
「ぜいたくだよ。世の中、セックスの相手もいない男の子がたくさんいるっていうのに」
「おれはおれなんだよ」
ふてぶてしく亮介はそう言って黙ってしまった。

亮介のセックスは、さすがに年上の女に仕込まれているらしく、前戯を厭わず、なかなか気持ちよくしてくれる。
クンニが丁寧で、クリ攻めと膣攻めのバランスがいい。
「ああん、あはっ、もう、いっちゃうよう」
「ナオは感度がいいね」
「あんたが、上手なのよ」
あたしはあっさりと降参してしまった。
使い込まれたペニスはへそにつくくらい長く、持続力もすばらしかった。
遅漏気味なのは、叔母による「我慢を強いる」セックスの犠牲なのかもしれなかった。
そして、いよいよ昇りつめての射精は見事な放ちっぷりで、よくこんなに出るなぁと感心するほどの量だった。
あたしのハンドジョブで射精させたんだけど、ドバドバって感じで、重く落ちるタイプだった。
彼曰く、乾物をたくさん食べると精液の量が増えるんだそうだ。

カネ払いも良く、喋らなければ、いいセフレだった。