Na・O・B・O・N

気ままに生きてます。だから気ままに書いていきますね。

2016年08月

下着を汚さないように、あたしはいつも裸になる。
小さな突起を中指の腹で押すようにほぐしながら、高まりを待つの。
仰向けでもいいし、お尻を高々と上げてうつ伏せになってもいい。
ひだの奥から水が湧くように、とろとろとジュースがしみ出してくる。
それがつーっと内ももを伝うころには小さな声さえ出始める。
「ああ、くっ…」
しばらくは指を離し、口元にその先を持ってきてキャンディを舐めるように自分を味わう。
「チョッ…チュッ」
甘いとも、しょっぱいともつかないあたしの味。
それから、自分のジュースを赤黒くふくらんだ乳首に塗り広げると、この肉の玉は敏感に反応してしこり始めるの。
「うううん」
やや左右不揃いのかわいい乳房は、あたしのお気に入りのパーツ。
もめば、もむほどに、あたしの息は荒くなり、忘我の境地に旅立つ。
もはや湿原は洪水となり、お尻の谷間を伝って、シーツに吸い取られる始末。
再び、あたしは指を水源に向かわせ、みだらな唇を押し開くの。
糸を曳くような音を立てて、指先は歯のない口に侵入した。

あたしはここまで来ると、容赦しない。
自分をとことんいじめる。
ずぼずぼと、男がするように指を抜き差しして、むずがゆくなるほどに快感を貪る。
「あーっ、あ、あー」
声はひとりでに大きくなり、コントロールできなくなるの。
気がつけば人差し指と中指の二本が根本まで押し込まれ、かき回していた。
手前を掻くように指を曲げると、失禁しそうになる。
実際、潮を噴いた経験もある。
そういうとき、膣がきゅーっと指を絞るのがわかるの。
小さな波が何度か寄せては引き、しまいに大波がやってきて、あたしの意識はどこへか飛んでしまうわ。
長い時間そうやって気を失っていたこともあるの。

正気に戻ると、ひんやりした股間の後始末のためによろよろと病人のように起き上がり、振り向けば、シーツには大きな染みができていたりする。
脇の下から汗の匂いが鼻をくすぐり、この削りたての鉛筆のようなあたしの香りを、あたしは嫌いじゃない。
男の人もたいてい、脇の下に鼻を押し付けてクンクンしてくれるから、案外、フェロモン的なものなのかもしれないわ。

あたしは、シャワーを浴びにバスルームに消えた。

男は中年の域を、すこし入ったくらいだった。
アキオと名乗った。

真面目そうに見えるのはメガネのせいだけではないだろう。
言葉少なだが、その気遣いがあらわれる話し方に好感が持てた。

「なおちゃんは、普段はお仕事は?」
「神田の小さな出版社の事務をやってます」
嘘をついた。

「へえ、本を作ってんの」
「ええ、まあ」
「おれね、カメラ屋だったんだけど、今さ、ビックカメラとか量販店に押されて、だめになっちゃったんだ」
「あらぁ、大変ね。街の写真屋さんみたいな?」
「そうそう、家族写真とかね、七五三とか撮ってたよ」
「そういうの東京じゃ見なくなったわね」
「根津とか千駄木あたりならまだあるかな」
明治文豪のいた街角の名前だった。
谷中とあわせて「谷根千(やねせん)」と呼び習わされている。

アキオは中年太りの裸体をベッドに横たえた。
あたしはかぶさって、唇を舐める。
ひげは濃くないが、剃り残しがあった。
ペニスはまだ勃起しておらず、陰毛の中に潜んでいる。
アキオも興に乗ってきてあたしの背中に腕を回し、強く抱きしめてきた。
「ああん、いたぁい」
「ごめん、ごめん」
170cmもない、中背のよくある男性だった。
あたしとどっこいの体格なので、足を使った愛撫もしやすい。
すると、ペニスが頭をもたげ、硬さを増してきた。
あたしもゆっくりとそれに触れ、もみしだいてあげた。
大きくはない。
しっかり硬い。
たぶん、十センチぐらいの小ぶりの持ち物だった。
これ以上は大きくならないようだった。
カリは張っていて、形がいい。
「入れる?」
あたしは、訊いてみた。
「ああ、入れてほしい」
騎乗位で嵌(は)める。
簡単にあたしはアキオを滑りこませた。
短い分、いい刺激を感じる。
「ああ、いい」
「いいの?」
「あなたの、ちょうどいいわぁ」
ほんとに、そう思った。
一昨日だったか、Shojiのペニスは長すぎて、痛かったし、あまり良くなかったのだ。
後ろ手をついて腰だけで出し入れしてやると、その硬さがGをこすって、ヤバイ。
ともすれば、抜けやすいけれど、潮を噴きそうになる。
「やん、すっごい、いいっ」
「なおちゃん」
じゅぴ、じゅぴ、じゅぴ…
あたしの腰が、激しさをまして上下する。
そうせずにはおれないのだった。
アキオも下から突き上げてくるので、けっこう、深いところまで当たっている。

後背位になり、アキオが余裕で差し込んでくる。
「あはぁ、やばぁい」
「なおちゃん、締まるよ」
「アキオさんのも、硬くって、気持ちいい」
「あ、あっ」
ぶすっ、ぶすっと突き刺すように腰が入って、あたしがベッドの縁(へり)に押し上げられる。
アキオは片膝を立てて、腰を入れている。
あたしは支えを失って顔だけで体を支えていた。
「なおちゃんの、すっごく濡れて、びしゃびしゃだよ」
「いやん、言わないで、そんなこと」
恥ずかしかった。
しかし、小さいことはいいものだとも思った。
こんなにフィットするペニスもめずらしい。
ほどなくして、アキオは勝手に果ててしまったらしい。
「中に出しちゃったよ。ごめんよぉ」
だいたい、男は確信犯でもそう言うのだ。
「いいのよ。あたし、お薬飲んでるから」
そう言いながら、後始末に余念がないあたしだったけれど。



Syojiはあたしの頬を両手ではさみ、くちびるをアイスでも舐めるようにペロペロしてきた。
「ナオは、あのなんて言ったかな…池脇千鶴に似ているね」
「そうかな」
「言われたことないかい?」
「ないわ」
Syojiはキスが好きだ。
そして首筋を噛んでくる。
はぁっ。
あたしは、首筋やうなじが弱い。
彼の勃起を手にしながら、あたしは後ろに倒れそうになる。
「おっと、あぶないよ」
「だめ、もう」
「ここは、どうかな」
プッシーに指が入る。
もう、ここまでじらされているのだ。
ずくずくである。
「ああん、やだ」
「なにが?」
「そこ、そんなに、しないで」
あたしは、せいぜい池脇千鶴風に上目遣いで甘えた。
「かわいいよ」

彼女の、ねっとりとした演技は、わたしも好きだった。
なんでも、映画で脱いだがために、清純派を売りにしていた彼女は、その後の仕事が激減したらしい。
あたしは、彼女こそ、アダルトビデオで活躍すべきだと思った。
コケティッシュな顔立ちは、世の狒々爺を狂わせるだろう。
そうそう『相棒』で長門裕之に言い寄る女書生として池脇さんが出ていたことがあったね。

Syojiの硬いペニスがあたしのおへそをつつく。
丸い亀頭は濡れている。
あたしはすっぽんの首を想起した。
「いれてあげてもいいよ」
「じゃあ、上になってくれよ」
「うん」
彼は陰毛をきれいに剃っていた。
そういうお客は少ない。
「モデルなんだ」
Syojiは、最初、そう自己紹介してくれた。
「モデルって、ファッションモデル?」
「顔は出ないんだけど、下着のモデル」
「へぇ」
「通信販売とかの男性用のパンツのモデルだよ」
そりゃ、そういうモデルがいてもおかしくはない。
Syojiの顔は、失礼だが、モデル向きではなかった。
「顔は出さないんだよ。だから、おれはやってんだ」
訊いてもいないのに、彼の方から弁解した。

騎乗位でひとしきり遊んだ後、あたしたちは離れた。
長いSyojiのせいで、少し痛かった。
「じゃ、正常位でいいかい?」
「ええ」

ぐぅーっとあたしの中にSyojiが侵入する。
大きく脚を広げさせられて、あられもない格好で貫かれた。
「入っちゃったね」
「うん」
Syojiは腰をしゃくるようにして、胎内をえぐる。
「はひ」
あたしは、シーツをぎゅっとつかんだ。
たまらないくらい、中をかき回される。
松葉くずしに体をひねられ側位でゆさぶられた。
なかなかのテクニシャンとみた。
素人じゃないな…
AV男優くらいの巧みな腰さばきだった。
側位は彼の得意技らしく、斜め後ろからあたしに愛をつぶやくのだ。
「なお」
「何よぉ」
「あごがきれいだ」
「そうお?」
「こんな商売をして、悪い子だよ。きみは」
「じゃあ、あなたがやめさせてくれる?」
「いいとも」
「ほんと?」
「考えてもいい」
彼の目は真剣だったけれど、あたしは信じてはいない。

バックで突かれ、あたしは快感におぼれていた。
膣がしびれて、かゆくなってきた。
「いいのか?中に」
「いいわよぅ」
「いくぜ。なお」
ガンガン、突かれて、あたしはボロ布(きれ)のようになった。
「うっく」
Syojiが小さくうめいて果てたようだった。

男は熱い心をすぐ冷ましてしまう動物のようだった。
さっき言ってたことはあらかた忘れてしまい、やはり遊びだったんだと思い知らされた。
ホテルの窓から新宿副都心の夜景が広がり、あたしは後始末のためにシャワールームに消えた。
Syojiは無邪気な寝息を立てている。

↑このページのトップヘ