その人は、奥さんがいるのにあたしに会いに来る。
訊けば、とてもよくできた奥様で、お子様がいないせいか、彼を子供のように思って接してくれるそうだ。
「じゃあ、何が不満なの?」
「べつに、不満なんかありゃしないさ」
「だって、こんなホテルで、あたしとセックスなんかして、悪いとか思わないの?奥さんに」
「思ってるさ」
「わかんないなぁ」
あたしは、それ以上詮索をするのをやめた。
かれの半分、皮の被ったペニスを握りながら、さっきの情事を思い浮かべていた。
「あいつね、おれが誘っても、あまりしたがらないんだよ」
不一致ってやつかしら?
「それで?」
「だから、きみを誘う」
「わかったわ。奥様の代わりってわけね。なら、ぞんぶんに抱きなさいよ」
あたしは体をベッドに投げ出した。
「よぉし」
四十半ばの彼は、やや緩んだ体を起こしてかぶさってきた。
目がぎらぎらしている。
さっきまでおとなしかったペニス君も、頭を完全に露出させてつやつやしていた。
バナナのように急に反り返った彼のものは、ぞくぞくさせる。

「なおのおっぱいはやわらけぇ」
とかなんとか言って、かぶりついてきた。
はぷっ
「ああん、もっと吸ってぇ」
「あう、まう」
ペニスがあたしの谷間を擦っていた。
「ううん、くっ」
最初のかすかな「逝き」を感じる。
燃えたあたしは、熾火だけで逝ける。
「英紀(ひでき)さん」
あたしは彼の名を呼んであげた。奥さんのように。
「加奈子(かなこ)」
あ~あ、やっぱり…
彼はしまったという顔をした。
「いいのよ。奥さんと思って抱きなさいよ」
「すまない」

彼は詫びるしるしか、正常位で滑り込ませてきた。
「やん!」
「奥まで、入ったぜ」
「ひでき…」
「かなこ…」
もう、かれは自分の世界に耽溺しているようだった。
あたしは挿入さえしてもらえれば満足だった。
彼を「ほおばって」つかんでさえいれば、「姫」は飽きなかった。

あたしは裏返され、バックで攻められた。
深い挿入で、また逝かされる。
「はひっ、だめっ、いくいくいくっ」
「かなこ、かなこぉ!」
「あなた、すごいわっ」
「出すぜっ、かなこの中に」
「だしてっ、いっぱいちょうだい!」
びゅくびゅくびゅく・・・・
長い射精が続いた。さっき出したというのに、どこにこんだけ溜めていたのだろう?

「なおこ…」
最後は、あたしの名を呼んでくれた。
「英紀さん、ありがと。奥様になれたかしら?」
「ああ、すごくよかった」
彼はそうやって離れてくれた。
あたしの中から、彼の気持ちが堰を切ってあふれた…