あたしは、セイルの自慰を見ていた。
彼が「見てほしい」というのだからしかたがない。
あたしたちは、裸で向き合っている。
セイルがあたしのあそこを見ながら、太いペニスをしごいているのだ。
「入れないの?」
「今は、入れない。そこまで飛ばすからね」
赤い顔をして、彼は必死でしごく。

セイルとは「帆」と書くそうだ。
彼の父親がヨットマンだったので、長男にそういう名前を付けたらしい。
「読めないから、いじめられた」
そういって、自分の名を恥じた。
「いい名前だと思うよ。そうやって由来を聞けば、お父さんの思いもわかるし」
「ナオだけだよ。そんな風に言ってくれるのは」

セイルはあたしが手指で拡げている小陰唇を凝視している。
穴が開いちゃうくらい見られてる…

「ぐあああっ」
吠えるように天井を向いて、椅子の上でセイルが反りかえった。
彼の手が包皮を引き下げた状態で止まり、白いものが線を描いてあたしの足元に散らばった。
二度、三度…
やや薄い感じの精液は、フローリングの床に飛沫を描いた。
「出たわね。すごいわ」
「はぁ、はぁ。やったぁ」
少年のようにセイルが、はにかんだように言った。
だらりと、下を向いたペニスが、それでもまだ硬さを残しているように見えた。
「拭こうか?」
「あ、ああ、自分でするよ」
よろよろと椅子から立ち上がり、彼は枕元のティッシュペーパーを取った。
あたしも、床にこぼれたカルピスを拭いてあげた。
青臭い、いい香り…
あたしは、セイルの精液の香りが好きだった。
セイルの出すものは、おしっこでも汗でも、唾でも、みんな好きだった。

「こんどはナオの中に出してあげる」
あたしの背後から耳元で、彼はそうささやいた。
あたしはぞくっとした。