Na・O・B・O・N

気ままに生きてます。だから気ままに書いていきますね。

あたしを知っている人はするどい。

カイヤのペニスは十二センチほどの立派なもので、ちゃんと剥けていた。
そしてサクサクとした下萌えで飾られている。
「あんた、いくつなの?」
「十七」
「すごいね。これ」
「ちいせぇだろ」
「ううん。おっきいよ」
「ふん。そんなこと言って、たくさんの男を連れ込んでんだろ?」
「どこでそんな乱暴な言葉を覚えたのかしら?レディに向かって失礼ね」
あたしはプンと口を尖らせた。
「ごめん。でもナオコさん、遊んでそうだから」
「あら、そう見えて?」
「だって、おれにさせてくれんだろ?」
「あなたが好きだからよ。だれでもってわけじゃないわ」
あたしも出まかせを言っている。
コールガールが何を言っているのだろうか?
「おれが好き?こんなガキのどこがいいんだよ」
「あたしね、弟がほしかったの」
「弟って…じゃあ、ナオコさんは弟と寝るってわけ?わかんねぇな」
なかなか理屈を言う少年だった。

「じゃあ、しないの?」
「い、いや、そういうわけじゃ」
あたしが、ちょっと拗(す)ねてみたら、カイヤはあわてた。
「さ、寝てごらん」
「うん」
「ドクドクしてる。一人エッチするの?」
「何だよ…するに決まってるだろ」
「こんなふうに?」
あたしは、熱いペニスを柔らかく握って上下させた。
「うあっ」
「気持ちいいでしょ。自分でするより」
「ああ」
先走り液がにじみだし、亀頭はつややかに張ってきている。
反り返った男の子は、あたしを濡らした。
こんなの入れられたら、さぞかし気持ちいいだろうな…
「やべぇよ」
「出ちゃう?」
「お、おれ、初めてなんだよ」
恥ずかしそうにカイヤが告げる。
「いいよ。出しちゃいなよ」
「そ、そんな。ああ」
あたしはしごく手を早めた。
びくびくとカイヤが痙攣し、温かい液体を噴き上げた。
何度も、何度も。

カイヤは寝る時、私と離れて寝る。
あたしはベッドで、彼はリビングのソファで寝る。
「ねえ、こっちにおいでよ。一緒に寝ようよ」と誘うが、はにかんで「いい。ここで」って言う。
私は、今日こそはという覚悟で、
「さみしいから、一緒に寝て。お願い」
と、めいっぱい、子猫のようにカイヤにしなだれかかった。
「え…し、しょうがないな」
お風呂上りの上気した少年は、濡れたような唇で答えた。
私には「この子をいただくんだ」という強い意志があった。
もう我慢できないの。
なんでだろう。
いつも大人の男ばかり相手にしていて、まだ「男」になっていない少年を自分の手で「男」にしてあげる快感を得ていない。
これこそ、女の、母性の発露じゃないだろうか?
あたしは人の親になれない体。
しょせん、あたしは「あばずれ」よ。
だったら、かりそめのこの少年にその気持ちをぶつけてみたい。

「何考えてんのさ」
カイヤのほうが怪訝な顔であたしを見つめている。
「あ、ごめんなさい」
「寝るんだろ?寝ようよ」
なんだか、彼の方が大人みたい。
あたしたちはベッドの掛け布団の中に包まれた。
リモコンでLEDの室内灯を落ち着いた光量に落とす。

あたしたちはしばらく天井を見つめていた。
口を開いたのはカイヤだった。
「ね、あの、このまま寝るの?」
「どうしたい?」
「おれ、だめだよ。やばいよ」
「なにがやばいの?」
あたしはじらしてやろうと、意地悪く訊いていやった。
「こんなとこに一緒に寝てたら、やっちゃうかも」
「あたしを犯す?」
「いいのかよ」
「やれば。男の子なんだから」
がばっと、彼が起き上がって、かぶさってきた。
「やるよ」
「やったことあんの?」
「な、ない」
「ないんだ…生意気言って。お姉さんに任せてごらん」
そういって、股間に手を伸ばして「お道具」を確認した。
「おお、すごいじゃない。ちゃんと硬くしてくれて」
「もう、ビンビンだよ、さっきから」
「ふふ、ごめんね。脱ごうよ」
「うん」
カイヤが初めて素直になった。

家出少年なんだろうか?
あたしは、その汗臭いハイティーンらしき男の子が妙に気になった。
ズボンはたぶん学生ズボンだと思うが、ひざっ小僧が破けている。
「あんた、喧嘩でもしたの?」
「いいや」
「ひどい格好…そのポロも汗染みだらけ」
「おとといからシャワーもしてねぇ」
ぶっきらぼうに彼は答えた。しゃべるのが億劫というわけではなさそうだった。
「ねえちゃんこそ、なんでおれなんかに声をかけるんだよ」
「ちょっと、気になっただけ」
「なあ、なんか食うもん持ってねぇか?腹ペコなんだ」
「家出?もしかして」
「だったらどうなんだよ。持ってねぇんなら、あっちへ行けよ」
すごむ彼がいじらしかった。
目は澄んでいる。
悪い子じゃないと思った。
棘をとがらせて、精いっぱい、防御しているのだった。
かつてあたしもそうだった。
雨に濡れそぼって、冷たい街をさまよっていたとき、ボスに拾われたのだ。
ボスと呼んではいるが、女性である。
エージェントのスカウターだった。
あたしは、彼女のマンションにつれていかれ、裸にされて、シャワーを浴びさせた。
そうして人間らしく扱われ、そのまま春をひさぐ生活になった。
後悔はない。
あるはずがない。

「あなた、あたしと一緒に来ない?」
「え?」
鳩が豆鉄砲を食ったような顔と言えばそんな顔だった。
「あたしがきれいにしてあげるし、何か食べさせてあげる」
「ほんと?」
「うん。助けてあげたいの」
「ありがてぇ」
生意気な子である。

あたしは自宅マンションに彼を連れて帰った。
ずいぶん前に羽佐間と観た映画の『ノルウェイの森』の松山ケンイチに似ていた。

「先にシャワーして。こっちよ」
彼は無言でついてくる。
「そうね、着替えがいるわね。先に入ってて、なんか用意するから」
「女物はやだぜ」
「だいじょうぶよ」
「だれか一緒に住んでるの?」
ポロシャツを脱ぎながら、彼が問う。
腹筋が割れて、なかなかいい体をしている。
「昔ね」
あたしは、小さく答えた。
羽佐間の下着やパジャマ、ジャージなどは、帰ってくると儚い期待をして置いてあるだけだった。

勢いよくお湯の出る音がして、シャワールームで男の子が浴びているのを聞きながら、あたしはクローゼットに下着などを取りに向かう。

「あー、さっぱりした」
シャワーを終えた彼が見違えた姿で現れた。
「あなた、ハンサムね」
「なんだよ。気持ちわりぃ」
そう言って、バスタオルで顔を拭いている。
もちろん下もバスタオルをちゃんと巻いている。
「ここに置いてある下着を使って。まっさらよ」
「へぇ、なんでこんなの持ってるの?旦那さんとかいないのに」
「いないわけじゃないの」
「別居?」
「難しい言葉知ってんのね。別れたの」
「そうなんだ…」
あたしは、キッチンに行った。
そのままそこにいては着替えられないだろうから。

あたしは冷凍パスタを戻して、作ってやった。
「カッペリーニだけど、食べる?」
「イタリアン?それどんなの?」
「あたし、よく食べるんだけど、お口に合うかどうか」
「うまそう」
パジャマ姿の彼は、よほど腹をすかしていたと見えて、ぺろりと平らげた。
「ごっそさん」
ちゃんとした子のようだった。
「落ち着いた?お名前、まだ訊いてなかったわね。あたしはナオコ。ヨコヤマナオコ」
「おれ、タジマカイヤ」
「カイヤってどんな字?」
「カタカナだよ。母ちゃんがつけたんだ。音の響きがいいって」
「ふうん」
永く一人で暮らしてきたこの部屋が、生気を取り戻したように明るくなった。
やはり部屋は二人で使うものなのかもしれない。
たとい見ず知らずの少年とでも…



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