Na・O・B・O・N

気ままに生きてます。だから気ままに書いていきますね。

あたしを知っている人はするどい。

セックスをすると肌がきれいになるらしい。
譲二と付き合うようになって、それはいっそう確からしく思えた。
「ほら、おっぱいも肩もすべすべ」
「ナオは前から玉の肌だって」
譲二は世辞がうまい。何人もの女の子と付き合ってきたからだろう。
「みんなにそんなこと言ってんでしょ?」
「おまえだけだよ。ナオ」
「もう」
唇を奪われ、私は降参した。
「ナオのせいで、もうこんなさ」
お腹につきそうなくらいに勃起した「彼」をみせる譲二。
「やだ、盛りのついたイヌね」
「ひどいことを言う女だ」
「お腹、出てきたんじゃないの?お正月のごちそうの食べ過ぎよ」
「ディレクターと年明け早々からニューイヤーパーティだもんな。そのあと、女子プロの飲み会だろ?」
成績不調な女子プロゴルフの選手を励ますために親睦会があったらしい。
「譲二は家に帰ってないの?」
「大晦日に帰ったきりさ。嫁は実家」
「家庭内離婚?」
「そんなとこ」
そう言うと私は転がされ、M字開脚させられ、狙いを定められた。
「ロックオンしろ。ナオ」
「来てよ。撃墜してよ」
「いくぜ、おら」
ずぶ…
太いチンコが肉をかき分けて突進してくる。

テレビマンには盆も正月もない。
譲二は番組制作会社とアダルトビデオの企画会社を掛け持っている。
年内に正月番組の収録が終わっているから、この三が日はプライベートな「仕事」で予定が埋まっているそうな。

「ナオ、久しぶりなんだろ?男」
「そ、そうよ。お呼びがかからないから。きゃっ」
長いモノがゆっくりと抜き差しされるとたまらない。
水泳で鍛えた譲二の体は疲れを知らない。
「高校の水泳部でさ、おれらが後輩の女子部員をマワしたわけ、そんで退学は免れたけど、水泳部は出入り禁止。だから湘南でサーフィンに転向した」なんてことを話してくれた。

鎌倉の子は性的に早熟だ。
譲二も中学生ですでにクラスメイトと関係を持っていたという。
「童貞はテニス部の子に捧げたよ」だって。

バックで攻められながら、私は譲二を出会ったころを思い出していた。
横須賀のビジネスホテルで撮影機材だったろうか、黒いケースに腰かけた譲二に声を掛けられた。
私はコールガールの仕事を終えて帰宅途中だったのだ。
「姐さん、美人だね、それにいい体だ。おれテレビ局のもんだけど、ちょっといいかな」
なれなれしく、彼は私に話しかけてくるのだった。
「なんなんですか?私、急いでいるので」
袖にしようと、踵を返したが、しつこかった。
「あんた、コールガールだね」
はっと、私の足が止まる。なんでバレるのだろう?
「やっぱりね。そうじゃないかとピンときたのさ」
前に回り込む譲二は、ニヒルに笑っている。タイプだった。
こういう男はセックスが上手で、強い。
「松崎しげる」を若くしたような容姿で、いかにもテレビ屋という風情。
そんな出会いだった。

「ナオ、もう逝っていいか?」
「中はだめよ。今日は危険な日なの」
「じゃ、おっぱいにかけてやる」
譲二は野太い声で、叫びながら腰を振り、素早く抜き去って、私の前に来てバストに勢いよく飛ばした。
独特の香りが鼻に届く。
水っぽいのか、すぐに流れて落ちていった。
私はティッシュで始末して、譲二の横に添い寝した。
「焼き肉、食べに行こっか」
「天壇か」
「万世がいい」
「けっ、好きだね。行こうか」
「うん」
私たちはシャワーを浴びてホテルを後にし、秋葉原に向かった。

南の島には、ある種のあこがれがあった。
日本人は特にそうだった。
補陀落浄土も南にあるそうな。

西方浄土よりも享楽の度合いが高いのが、補陀落浄土なのだと。
人々は裸で過ごし、臆面もなく自由に交わる。

そこかしこで愛を語らい、愛撫に余念がない。


一説に「カーマ・スートラ」の体現世界だという。
「ザナドゥ」とか「キサナドゥ」などと西洋では呼ばれていた。
中国では「桃源郷」と呼ばれる世界。

陰陽の結合は無上の喜びに通じる。
さあ、私の中へいらっしゃい。
あなたの、硬く、輝かしい陽根を、私の闇が支配する女陰に差し込んで照らしておくれ。

私は「なおぼん」の灯台を目指して旅に出た。
彼女に聞きたいことが山とある。
「なぜ、私を造った?」
「私をどうしたいの?」
「あなたは、どこにいるの?」
ある人から「なおぼん」は灯台守をしていると聞いた。

南洋を目指して、PBYに乗せてもらった。
カタリナの愛称のあるアメリカ製の飛行艇だ。

操縦士はアメリアといって、ブロンドの女性だった。
「アメリア・エアハート」どこかで聞いた名前だった。

「あなたの探している人はたぶんあそこ」
そう言って、アメリア機長は私を乗せてくれたのだった。

この星の南半分は、体を持たない人々が集まる場所だという。
ある人は「補陀落(ふだらく)」というところだという。

南十字星が頭の上に見える場所は、「天国にいちばん近い島」だともいう。

カタリナは軽々と私たちを空に運んで、南に進路を取った。

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